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テストインジケーターによる簡易歯車測定(GAM)

 ダイレクト ギヤ ミーリングやCAM等による歯車加工を行った時、その加工設備でワークがクランプされた状態のまま、平・はすば歯車の、歯形(圧力角誤差)や歯スジ(ネジレ角誤差)等の歯車精度をテストインジケータにより、簡易的に測定するプログラムです。

GAM開発の背景

 5軸加工機による歯車加工加工が一般的になりつつある今、特に大型のシャフト部品などは5軸複合旋盤等で、旋削 + 穴あけ + キー溝等のミーリング + スプライン等の歯車加工を1台の設備で加工する”工程集約”が求められるようになりました。 今までは旋削メーカーが旋削+穴あけ+ミーリングを行った部品加工を行い、歯車メーカーが歯車加工を行う、というようにメーカーを跨いで部品を製作することが多かったのですが、工程集約により、納期短縮、搬送による傷・打痕・錆等の問題、コスト、等で大きなメリットが得られます。また、歯切の仕事を受ける歯車メーカーにとっても、大型部品の歯車を加工する設備を保有していなかったり、大型部品は加工不良が発生した場合の責任も大きくなり、日頃から取引のあるメーカー以外の仕事を受けることに慎重になる場合もあります。

 そのような状況のため、5軸複合旋盤を保有している旋削メーカーでは自社で歯車まで加工したいという要望が高まっています。

 問題は歯車の精度保証です。
加工は、5軸加工機とDGMやCAM等のソフトウェアがあれば歯車加工を行うことが出来ますが、加工された歯車が正しい精度なのかを確認し保証する必要もあります。
歯車の精度保証には、歯厚寸法と歯車精度の2つを測定する必要があり、それぞれに必要な測定機器は、以下のようにります。

  1. 歯厚寸法---測定機器:ピン+マイクロメーター or マタギマイクロ or OBDマイクロ、等
  2. 歯車精度---測定機器:歯車精度測定機

 歯厚寸法を測定するマタギマイクロ等の測定具は数万円程度なので、歯車を加工して仕事をするならば購入すれば良いのですが、歯車測定機は数千万円となり、その投資(購入)は歯車メーカーにまでなるつもりが無ければ非常に難しいと思います。
また、特に大型の歯車を測定できる歯車測定機となると購入は難しくなります。歯車メーカーでさえも大型の歯車は歯車測定機での精度測定まで行っていることは少ないです。ただし、ホブにより歯車加工を行った場合は、”カッター保証”で良しと認知されていることが多いですが、5軸加工機で加工された歯車の場合は信用されない(出来ない)ため、何らかの方法で歯車精度を確認する必要があります。

 そのため、歯車加工を行った5軸加工機とテストインジケーターにより、簡易的に歯形(圧力角誤差)と歯スジ(ネジレ角誤差)が正しく加工されているかを確認するプログラム(GAM:Gear Accuracy Measurement)を考えました。

GAMの測定作業概要

 以下にGAMによる測定作業の概要を紹介します。

テストインジケータの原点設定

 測定前に振れの無いマスターワークや旋削円筒に対して下図のようにテストインジケーターを接触させ、X軸とY軸の原点設定を行います。
(下図は5軸複合旋盤の座標系の場合です。)

XY軸の原点設定

 次にGAMのNCプログラムを実行し、下図のように歯面にテストインジケーターを接触させ、C軸(ワーク回転軸)の原点設定を行います。

C軸の原点設定

 ※Z軸の原点は厳密に設定する必要は無いので、歯車の端面に合わせ、およその位置で設定します。

歯形測定

 歯形の測定は、下図のように基礎円径の接線方向(Y軸)方向にテストインジケーターを移動させるとともにC軸(ワーク軸)を回転させ、数点の測定点における歯形誤差を測定します。(誤差の無い歯車の場合はテストインジケータの値は変化ありません。)

歯形測定

歯スジ測定

 歯スジ測定は、下図のように、Z軸の移動とともにC軸を回転(はすば歯車の場合)させ、設定した測定径における数点の歯スジ誤差を測定します。

歯スジ測定

測定結果のグラフ表示

 測定結果はGAMのソフトウェアから印刷できる記録用紙に測定値を記入し、その値をGAMのソフトウェアに入力することで、下図のような歯形・歯スジの測定結果のグラフ表示が得られます。

歯スジ測定

ダウンロード

プログラムは以下のリンク先からダウンロード可能です。

※ただし、起動するには登録キーが必要なので、契約ユーザーか試用ご希望の方用です。

  テストインジケータによる歯車精度測定(GAM)のダウンロード

価格・利用規約

 GAMはダイレクトダイレクトギヤミーリング(DGM)の契約ユーザーにはご希望があれば無償でご使用になれます。

 また、GAMはソフトウェアを使用しなくても、GAMで出力されたNCプログラムのマクロ変数の値等を少し編集すれば、様々な平・はすば歯車の諸元に対して測定可能になります。

 GAMによる測定結果が広く認知して頂きたいという思いと宣伝目的から、以下の制限はありますが、測定のNCプログラムと無償版の簡易のソフトウェアをお渡しいたします。
 ご希望の方は、お気軽にご連絡下さい。

【無償版の制限事項】

  1. 無償版の簡易のソフトウェアは、測定点座標の計算と歯車精度のグラフ表示機能のみとなります。
    ※正規版には、DGMとのデータリンク機能、測定情報のデータベースへの保存機能、歯形測定位置のビジュアル表示機能等が追加されます。
  2. NCプログラムには、基礎円径、リード、測定点の座標値等を手入力しなければなりません。
  3. Web会議での1.5時間程度の説明は無償で対応致します。
    (今後のDGM等のご検討にも繋がる可能性に賭けて営業活動として)
  4. 対応が簡単な設備は、FANUCとMELDASAのNC装置の5軸複合旋盤です。
  5. 上記より更なる対応が必要な場合は、以下の料金表に基づき、有償対応とさせて頂きます。

※ダイレクトギヤミーリング(DGM)の価格表と利用規約は、以下のリンクからPDFファイルをダウンロード出来ます。

  DGM・DGC_料金表(2023-1-05改定)

  利用規約兼保守サポート規約

取扱説明

 ソフトウェアの操作説明は、現在、Skype等のよるWeb会議により行っております。
現在はソフトウェアの拡充やブラッシュアップに力を注ぎたいのですが、お客様の増加に合わせて、動画かHP上に取扱説明を記載していこうと思っています。 いずれにしても、この場所を起点に取扱説明書を連絡していく予定です。

 測定作業の操作説明は、以下よりPDFファイルを閲覧・ダウンロードすることが出来ます。

  GAMによる歯車測定方法.pdf